TEMPERATE

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TEMPERATEのこと#17

「人気のローファータイプ、紆余曲折の物語」

TEMPERATEが誕生して約8年、PVCのバレエシューズからスタートし、今では数多くのモデルが揃っていますが、なかでも根強いファンがいるのが、LLOYDをはじめとするローファータイプです。秋冬にも新デザインが登場する人気の型ですが、実は年々、密かなアップデートが行われていることをご存知でしょうか。


実はブランドの中で最も難度の高いモデル

バレエシューズとは違う、もっとビジネスシーンでも履けるデザインが欲しいと、メンズライクなローファータイプが開発されたのは、ブランドが発足してから約2年後。以来、シンプルなLLOYDから始まり、ビットが付いたJACOBや、フリンジとタッセルが施されたVICTORなど、装飾をあしらったデザインが増え、バリエーション豊かになりました。
ただしこのローファータイプ、残念なことにほかのモデルと比べて難度が高いのです。その理由は、ブランドのコンセプトが実用主義でないところにあります(詳しくはJOURNAL01参照)。TEMPERATEの靴は「自分の足に合う、美しい靴を履いてほしい」という思いでデザイン。だからこのローファータイプも「日本人の足の形に合うように」ではなく、「デザイナーが最も美しいと感じる」形を追求しています。結果、甲幅がスリムですっきりしたフォルムとなっているので、足に合う人とそうでない人が、極端になってしまいました。


涙の廃盤。靴への負担が大きな問題となったことも

また、足に合っている人は問題ないのですが、そうでない人が頑張って着用すると、靴に大きな負担がかかる可能性が。履いているうちにストレスがかかり、履き口が裂けてしまうといったこともありました。TEMPERATEの商品は、すべて第3者検品機関での基準をクリアしたものばかりですが、ブランドとしてはこれを大きな問題と捉え、残念ながら廃盤にしたモデルもあります。


より多くの人が履けるよう、アップデート進行中!

しかしながら、現在でもローファー人気が高いのも事実。そこでよりよい商品へと改良すべく、ふたつの解決策を考えました。ひとつは、今年からサイズレンジをアップ。それまで5サイズだったものを7サイズへと拡大し、より足にフィットする可能性を高めたのです。もうひとつは、甲に合皮素材の装飾をあしらい、さらに見えないところにナイロン素材の補強テープも加え、強度を出す工夫を(一部除く)。一体成形のPVCシューズの上から、合皮を縫い付けることで履き口をカバー。装飾でありながら、強度が自然と増す効果も期待できるようにしているのです。現状のモデルも、仕様の変更を検討中です。


美しさを基準にデザインを起こすため、ときに課題も生まれてしまうTEMPERATE。今回、非常にデリケートな内情をお伝えしましたが、たくさんの人に愛される靴づくりをしたいという情熱は変わりません。まだまだ未熟な部分はありますが、課題については、できる限り改良していきたいと考えていますので、これからもどうぞ、長いお付き合いをしていただければと思います。

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