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TEMPERATEのこと05

「似て比なるデザインが揃う理由は、デザイン性だけじゃなくて」

TEMPERATEの靴を、ポップアップストアやオンラインで一度でも見たことがある人は、そのデザインバリエーションに、びっくりするのではないでしょうか。たとえばブランドを代表する「ポインテッドトウ」というジャンルだけでも、プレーンなものからバックル付き、バレエシューズetc.と、あらゆるデザインとカラーが揃っているのです。通常のシューズブランドでは、同じ型で、ここまで多くのデザインを展開することは、まずありません。


PVC素材の特性が、デザインに影響を与えます

なぜここまで、ディテールを細かく違えているのでしょう。「お客様に、もっともっと新しいものを提案したい!」という、ブランドとしての情熱と信念はもちろんのことですが、実はTEMPERATEの靴は、型が同じでも、装飾によっては履き心地に影響することがあるからなのです。
その大きな理由は、PVC(ポリ塩化ビニル)素材の特性にあります。PVCがレザーと比べて圧倒的に違う点は、実際に足を入れると、体温によって素材が伸びるけれど、脱ぐとまた元に戻るところ(レザーのように履き続けていくうちに足になじみ、形が変わっていくようなことはありません)。PVCが伸びることはフィット感のよさにもつながりますが、同時に上から装飾を施すと、それが抑制されることも。だから、型は同じでも、デザインが違うと、わずかではありますが履き心地が変わることがあるのです。


4タイプの「ポインテッドトウ」で比較してみた!

参考までに、先ほども触れた「ポイインテッドトウ」というジャンルで、ご説明します。
左から、STELLA、SHELLY、NINA、IRMA。この4モデル、右へ向かうほどに、履き心地が締まってきます。まったく装飾のないSTELLAは、PVC自体にかかるストレスもほとんどなし。それに比べて甲にリボンが配されたSHELLYは、結び目が接着している部分に負担がかかり、ここだけPVCが伸びません。ベルトが施されているNINAは、バックルが大きい分、PVCにも負担が。SHELLYより、履き心地が締まってくるのです。IRMAは、グログランテープのパイピングに注目。履き口がキュッと狭くなるのでSTELLAと比べると、履き心地はかなり違います。このモデルが、足が華奢な人に支持される理由もそこにあります。

「STELLA」\7,040(tax in)
「SHELLY」\7,260(tax in)
「NINA」\7,040(tax in)
「IRMA」\6,820(tax in)

デザインがフィット感を高めてくれることも

装飾によってPVCへの負担が変わる、つまり履き心地が変わるのは、悪いことではありません。確かにSTELLAはストレスがほとんどありませんが、その分柔らかすぎて、足に合わないということも。適度にPVCが伸びる性質を抑制し、形が変わりにくくなっているほうが、足にフィットする場合も多々あるのです。
ポインテッド靴だけでなく、ローファーやオックスフォードでも同じこと。非常に細かく、マニアックな話ですが、デザイン選びの参考にしていただけたら。洋服との相性や、シーンによって選べる楽しさもありますが、自分の足に微妙に合わない……と感じたときも、デザインを変えたら、問題は解決するかもしれません。


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