TEMPERATE

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TEMPERATEのこと#25

「完成までに約2年!待望のヒールコレクションが誕生しました」

前回、前々回にもお知らせしたとおりですが、TEMPEATE春のトピックスのひとつが、ヒールコレクションが発表されたこと。こだわりにこだわって、完成までに約2年を要してしまいましたが、その甲斐あって、納得のデザインにすることができました。


【美しいPVCパンプスまでの困難な道のり

これまでも、多くのリクエストがあったヒールデザイン。仕事柄ヒールがマストの方や、雨に濡れた地面に、なるべく足を着地させたくないという方の声を反映したいと、かねてから思っていました。ですが、予想以上に道のりは困難。というのは、TEMPERATEの基本コンセプト「美しいフォルムであること」を貫くためのシューズの鋳型づくりが、なかなかうまくいかなかったのです。


まるでたい焼き⁈PVCシューズのできるまで

よく見ると、PVCシューズにはどこかに繋ぎ目のようなラインが入っています。これは、シューズを製作する際に必ず出るもので、実はシューズではなく“鋳型”の繋ぎ目の跡。TEMPERATEに限らず、インジェクションシューズというものは、鋳型に液状のPVCを流し込み、成形してつくられます。そして成形されたシューズを取り出すために、鋳型自体が分かれる仕組みになっているのです(たい焼きをつくる機械をイメージするとわかりやすいかもしれません)。だから鋳型の接合部分の跡が、どうしてもシューズに残るのです(いわば、たい焼きの羽の部分)。シューズのタイプによって繋ぎ目の位置は変わるのですが、通常ヒールタイプとなると、構造的に鋳型は左右に分かれるものに。



というのは、ヒールがある場合、安定感を高めるために、土踏まずの部分にシャンクを、ヒールの中にビスを入れなくてはなりません。TEMPERATEでは、シャンクとビスが一体化した樹脂製のパーツを、液状のPVCを流し込む前の鋳型にセットします。そうすることで完全防水機能を損なうことなく、安定感のあるPVCのヒールパンプスを実現することが可能に。となると、鋳型が左右に分かれたほうが、工程としてはスムーズなんです。ただし、それだと鋳型の跡がシューズに対して縦に、つまりシューズの顔でもある甲の中心に、線が入ってしまうことに。


さまざまな工夫を経て、ようやく満足できるデザインに

TEMPERATEでは、それがどうしても許せなかった……。ほかのバレリーナタイプのように、跡が目立たないパンプスになる鋳型ができないかと、思案したのです。デザインを工夫したり、こだわりを叶えてくれる新しい工房を探したり……紆余曲折の末、これだ!と思うオリジナルの鋳型ができるまでに、約2年の月日がかかってしまいました。 そうして誕生したのが、バレリーナデザインのMONAとメリージェーンデザインのCANNONです。どちらも雨の日に履いても安心な、3.5㎝の太ヒール。ひと言でパンプスタイプといっても、単にヒールをくっつけているわけではなく、完成までにはいろいろな困難を乗り越えているのです。「正直、何度もあきらめかけた」とデザイナーがいうほどの、TEMPERATE渾身の作!その履き心地を、ぜひ体感してみてください。



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